理事会の存在〜価値観の多様性が大学生協の特長

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大学生協の理事会では、教員と学生と生協職員が同じレベルで議論します。こうした仕組みは他企業にはなかなかないと思います。現役の学生が経営陣の中にいるという状況自体、かなり珍しいことかと思います。

もちろん、様々な立場から意見が出されるので、協議に時間がかかったり、合意形成が難しかったりして難しい面はありますが、それが「学生のために、教員のために、組合員のために」というところで一致して頑張ろう、となったときは素晴らしい力を発揮します。

理事会では、特に食事の提供に関わることについては、共通した関心事なので盛り上がります。メニューや提供方法、焼き立てパンをやった方がいいのか、テイクアウト弁当が欲しい、などなど・・・。同じ大学に暮らすという共通項で様々な立場の人たちが集まり、利用者の立場、経営者の立場、学内事情、学生の本音などを出し合って経営判断をしていくのはとても面白いです。

先生からの話としては研究費利用のことも多いです。利用者としての不満もよく出されますし、大学の事務方と生協が協力せねば解決しない問題も出ます。生協は学生や先生どうしのコーディネートも大切ですが、大学そのものとの調整も重要です。

慶應生協の学生理事のみなさんは、商学部の学生が多いこともあって、経営手法そのものへの意見も多く出されます。最近では、三田キャンパスの書籍店舗改装について議論が盛り上がりました。そもそも改装することが良い経営判断なのかどうか?と。書籍事業は維持できても大きく伸長する分野とは言えない、大金をかけて改装する意味があるのかどうかという点ですね。

教員は本を、息をするように買う。読みたいと思ったらそこにあることが重要だと話しました。通信販売では早くても一日待たなくてはならない。すぐ読みたいのが研究家。院生もそうなのだ、と。一方、学生は、自分達は本を読まない、買っても就職書くらい、書籍は衰退分野でしょう、と話しました。そこにお金をかけてどうするのか?と意見をぶつけあいました。最終的には「院生の需要が高い」「慶應という大学のステイタスを考えると、書籍専門店として頑張ろう」という結論に至り、2017年夏に大きく改装しました。

大学生協はより多くの供給(売上)を求め、安定的に経営せねばなりませんが、大学や教員からの期待にどう応えるか、大学のステイタスをどうとらえるのかという価値感も重要です。理事会という様々な立場の人たちが、多様な価値観で話し合い一致点をみつけていくことは、大変難儀ですが、それが面白さでもあります。

ステークホルダーの多さ、価値観の多様さは大学生協の特長です。大学そのものの方向性や政策はもとより、教職員、院生、留学生、卒業生などいろんな人たちが知恵や技をもっています。大学に暮らす人たちの声、嗜好、購買行動、ひとことカードに寄せられる意見、学生がよく話す内容・・・常にそれらにアンテナを張り、商品やサービスへつなげるよう、コーディネータに徹することができるかどうかが、生協職員の仕事を本当の意味で理解し、楽しめるかどうかのポイントです。日々アンテナを張り、「私は組合員のことを良く理解している」という自信が持てれば、商品選定をしたり、メニューを考えたり、企画をつくったりする段階で迷いなく行動に移せるでしょうし、きっと成果につながると思います。

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