ABOUT トップインタビュー

早稲田大学生協
専務補佐 山口知子 × 専務理事 姫田歩

トップインタビュー

山口 知子

早稲田大学生協 専務補佐

山口 知子 TOMOKO YAMAGUCHI

2002年4月、新卒で早稲田大学生協へ入職。戸山店、コーププラザ・ライフセンター、理工店を経て、2011年にコープセブン店の店長へ。産休・育休取得後ライフセンター店長としてマネジメントを経験し、2018年に武蔵学園生協へ移籍異動して専務理事を務める。2021年5月、再び早稲田大学生協へ。現在は専務補佐 兼 管理部マネージャーとして大学生協の運営をまとめる。2度の産休・育休を挟みながらもキャリアを重ね、専務やスタッフからも頼られる存在として、大学生協を盛り上げている。

姫田 歩

早稲田大学生協 専務

姫田 歩 AYUMU HIMEDA

2004年4月、早稲田大学生協へ入職。ブックセンター、理工店を経て、2010年にライフセンターにて店長へ着任。2014年には専務補佐に就任し、コープセブン店の店長を兼任する。その後、2015年に慶應義塾大学生協へ移籍異動し専務補佐を、2017年に一橋大学生協の専務理事を経験した後、2020年に再び早稲田大学へ。全国でも特に規模の大きい大学生協の専務として、同大学生協はもちろん、東京地区(おもに武蔵野エリア)の他大学の生協もけん引する。

トップ二人が語る、
これからの時代に求められる
大学生協とは。

SECTION 01

大学生協とは?

学生や教職員が自ら出資し、
利用者となる唯一無二の組織。

山口

大学生協の使命は、有意義なキャンパスライフを支えることです。自分の学びたい科目の教科書をいつでも迷うことなく購入できる、短い休憩時間に美味しく安心できる食事を食べることができる。そんな当たり前の日常を、購買部や食堂、各種学びの提供、住まいのサポートなどの運営により支えています。一般企業であれば、「店舗の売上をどう上げるか」というところに着目してしまいがちですが、大学生協はそうじゃない。非営利の組織だからこそ、目の前の売上ではなく「24時間、365日どうやって大学生活をサポートできるのか」を考え、事業運営できるのは大きな特徴です。

姫田

株式会社は出資している「株主」と、利用する「利用者・お客様」が異なる場合がほとんどですが、生協の場合は組合員である学生・教職員が「出資者」であり「利用者」であること、加えて運営に自ら参加して成り立っている点が、他の企業と大きく異なります。日常的に店舗で商品やサービスを利用し、店頭に設置された一言カードで運営に対する要望を発信し、理事会(一般企業の「取締役会」にあたる)では学生・教職員・生協職員からなる理事が経営について話し合う…というように、大学ごとに自分たちで方針を決めて活動しているのは、他の企業や団体にはない特徴です。

校内にあるためヘビーユーザーが多く、利用者は要望を気軽に出しやすいですし、職員からすれば顔見知りのお客様ばかりなのでときには保護者のような視点で接することもあります。そうした温かい関わりが生まれるのも、大学生協ならではかもしれません。

SECTION 02

アフターコロナの大学生協

先が見えないからこそ、
「学生や教職員のために」
という原点に立ち返る。

山口

2020年は一時期各大学が授業を取りやめていたこともあり、利用率も売上も大きく減少しました。私は「早稲田大学生協の危機を救ってほしい」と姫田専務からお声がけいただき、2021年の春に異動をしてきましたが、学生がいないキャンパスを見たときは衝撃で…。早稲田と言えばサークル活動が盛んで、入学式には多くの在校生が新入生を歓迎していましたが、そうした風景も消え去っていました。生協は多くの学生の利用で成り立っているため、この先どうすれば良いのか戸惑ったほどです。

ですが、早稲田大学生協は全国にある大学生協の中でも規模が大きく、優秀な人材を輩出することで他大学の発展に寄与してきた歴史があります。同じように苦境に立たされている他の大学生協に道標をつくるためにも、早稲田をもう一度盛り上げなければならない。そう決意したのを覚えています。理事・監事の皆様、職員と共に再建計画を作り上げ、2022年には第6次中期計画を策定しました。「コロナ禍で激変した大学コミュニティの再生へ、組合員の活動参加を通じて貢献する」「生協経営の再建に向けて、多くの組合員が気軽に自主的に参加できる生協をつくる」どちらも大学生協では当たり前のVisionですが、激動の中にいる今だから、「何のために大学生協があるのか」という原点に立ち返る大切さを感じています。

姫田

コロナ禍によりプラスの影響があったとすれば、大学や学生、教職員との距離が今まで以上に近くなり、本音で対話ができるようになったことです。2022年に入りキャンパスにも人が戻り始めましたが、授業のオンライン化も進み、今後もコロナ前と全く同じ状況に戻ることはありません。「生協として大学生活にどう貢献するか」については、大きな変化が求められます。そのため重要なのが、組合員の声に耳を傾け、失敗を恐れず既存事業以外にも果敢に挑戦することです。現在力を入れている公務員講座や新入生向け住宅紹介などもその一つ。また、「店舗の営業時間を短縮したけれど、本当に必要とされる時間はどのくらいなのか」など、前提を疑ってみることも大切です。最近では組合員からの声もあり、感染防止のため店頭から消えていた「焼き立てパン」が、安心して購入できる環境を整えることで復活を果たしました。

ここ数年は、「なぜ大学生協でなくてはならないのか」を大学や生協の理事会から問われる機会が増えました。そうした中でも、「学生と大学に本当に必要なものを提供できるのは、やはり大学生協だ」という声をいただけているのは嬉しい限りです。今後も大学や学生、教職員の皆様からの信頼を得るために、挑戦を恐れず、より良い生協を追求し続けます。

SECTION 03

仕事をするうえで大切にしていること

ボトムアップではなく、
学生、教職員、スタッフと
肩を並べ、組織をつくる。

山口

運営や経営に関わるあらゆる人とのチームワークを大切にしています。たとえば、日々の店舗運営では店長をはじめとする職員や、多くのパートさんとのコミュニケーションが欠かせません。自分が店長だった頃の経験を活かして環境整備をサポートしたり、専務や本部からの情報伝達はもちろん、自分から直接スタッフに声をかけて、何かあったときに相談しやすい風土づくりを心掛けています。

また、共に大学生協を運営する学生委員との意見交換も重要です。特に印象的だったのは、2018年に武蔵学園生協にて専務理事を担当したときのこと。「店舗の運営を手伝う」というスタンスではなく、学生の方から「新しい企画を考えたので、アドバイスが欲しいです」「活動の振り返りをしたいので時間をください」と直接声をかけてくれました。生協の最高議決機関である総代会でも議案説明を学生委員が自分たち主体で進める様子を見て、これが大学生協のあるべき姿だと感動したのを覚えています。経験があるからこそトップとしては効率主義な考えになることもありますが、大学生協のためにひたむきに頑張る学生たちの姿を見て、改めて「組合員と共に生協をつくる大切さ」を実感しました。

姫田

“協働”の観点で言えば、2020年度のコロナ禍での経営再建を掛けた理事会は印象的でした。大学生協の理事会では、約半数を占める教員の理事と学生の理事、そして生協職員が同じ理事・経営陣としての立場から平等な議論を行ないます。コロナ禍以前は提案された議決事項に対して反対意見が出ることはあまりありませんでしたが、そのときは現在に至る経営評価やこれから大学生協がどう進んでいくべきかについて、ときには学生理事が教員理事の主張に対して反対意見を述べるなど、衝突を恐れず話していた姿が印象的で。私たち大学生協職員が提示した方針に対しても、より良い策にするためたくさんの提案や意見をいただき、こうやって組織は生まれ変わっていくのかと実感しました。

理事会という機関はあっても、ここまで民主的で建設的な討論ができる組織はなかなかないと思います。私自身もトップとして、常に「組合員のために」を忘れず、朝令暮改を恐れずに職員たちの新しい挑戦を後押ししていきたいです。

SECTION 04

就活生へのメッセージ

より良い大学生活をつくるため、まずは自分の幸せを追求してほしい。

山口

就職活動は、自分を知り、相手を知ることができる、人生においても貴重な機会だと思います。自分がどのような人間なのか、どのような仕事をしていきたいのかを見つめ直すことが大切です。そのうえで、企業のどのようなところに共感するか、そこで働く自分が想像できるかを考えてみてください。

大学生協でいえば、「周りに素直に質問できること」「自分の意見を率直に伝えられること」は強い武器となります。上司や先輩はもちろん、一緒に働くパートさんへも素直に質問をし、コミュニケーションをとれる方であれば、周囲からの信頼も得やすいです。また、自分が学生生活で感じてきた不安や、こうだったらいいのにという想いがあれば、積極的に運営に活かしてほしいと思っています。特に現在就職活動をする多くの方は、コロナ禍での大学生活を実体験してきたからこそ、学生目線で今本当に必要とされる施策を提案できるはずです。「より良い大学生協を共につくっていく」という想いに共感いただける方に、ぜひご入職いただけると嬉しいです。

姫田

中期計画の目標の一つとして掲げているのが、「組合員との協働に必要なスキルを持った職員の育成」です。そのためにも、山口さんも話されたように、職員一人ひとりが意見を発し、日々運営や経営を改善していける組織でありたいと思っています。例えば、学生委員と協働して食堂で新たなコラボメニューをつくったり、購買部で大学オリジナルの商品開発に繋げたり、現在世界的に注目されている「持続可能な社会への取り組み」を大学生協としてどう体現するかを考えることもできるでしょう。単なる店員とお客様との関係ではなく、ときにはコンシェルジュとして、ときにはメンターとして、学生や教職員からの信頼を集める存在になっていただきたいです。

もちろん、そこに過度の自己犠牲は必要ありません。大学生活を支える職員自身も、自分のために、家族のために幸せやワークライフバランスを追求してほしいと思っています。大学生協は優秀な女性管理職が本当に多く活躍していて、山口さんも結婚・出産を経て、専務理事まで担当してきた方ですし、私自身も女性の上司のもとで働く機会が多くありました。性別や家庭状況に関わりなく、意欲のある方が長くキャリアを積み重ねていけるのも、大学生協の魅力のひとつ。ライフステージが変わってもやりがいある仕事に熱中し続けたいという方に、来ていただけたら嬉しいです。